“中央テレビ”というTV局のそばにある喫茶店『マンハッタン』はこだわりの店。 店長(松岡昌宏)は病的なほどの珈琲マニアで、お客さんにも純粋に珈琲の味を楽しんで欲しいと思っている。 口髭にチョッキというマスター然とした見た目にもこだわり、「ごゆっくりどうぞ」以外の言葉は滅多に発しない。 どうしても言いたいことがある時はバイトの蒲生忍(塚本高史)に代弁させる。 名前も秘密で、本当は店長ではなくマスターと呼んでほしいと思っているが、それも秘密だ。 とにかく珈琲にすべてを捧げる男。 しかし彼の店に集まる常連客は、珈琲を味わうような人種ではない。 彼らは、店長の思惑など知らず、常に恋に生きていた。恋人との逢引や、プロポーズ、別れ話などに店を利用する常連客たち。 平静を装う店長だが、恋にかまけて珈琲を飲んでくれない彼らに心では泣いていた。 そんなある日、赤羽伸子(小泉今日子)という女性が店にやってくる。